男女で育休取得したら育児給付率を手取り10割に

【2023年3月17日「読売テレビニュース」記事より】

あくまで、2023年3月17日の現時点では「表明」だけなので「決定」していません。いつから実施されるのかも未定で、場合によっては政策内容が変わるかもしれません。

数日前に『育休取ったら同僚社員に応援手当を支給することについて』の記事でも書きました。育休を取得する人も育休をフォローする人も納得出来るような仕組みを国が率先して作ってくれることを期待していましたが、まさかその数日後に予想の斜め上をいく動きを国が見せてくれました。「異次元の少子化対策」の1つかもしれませんが、「違う!そうじゃない!」と声を大きくして言いたいです。しかも、「男女で育休を取得した場合」とのことです。また、男性育休取得率の目標についても、「2025年度に50%、2030年度に85%」とする考えを明らかにしているみたいです。

2023年3月時点の育児休業給付制度としては、休業期間により給料の67%(0~6ヵ月)と 50%(7ヵ月~12ヵ月)が支給されますが、現在この給付率を80%へ引き上げることが検討されています。まだ表明段階なので決議されれば、育休取得前と同程度の手取りベースで収入を得ることが今後可能になります。手取り10割という見出しでは少しわかりづらいので、具体的には育児休業給付金を一時的に現在の67%から80%まで引き上げ、社会保険料などの税金が免除された手取りで、実質的に休業前と同額の手取りを受け取れるようになるようです。(注意:住民税は免除対象外)

収入が減ることが嫌で、育休を取得出来なかった人たちにとってはとてもよい政策なのかなと思います。

ただ、超少子高齢化社会を改善するための政策なのかもしれませんが、子供を産み育てる社員を優遇するだけでは、男性育休取得率のがアップにつながる可能性は低いかもしれません。日本を支えている約99%(経済産業省調べ)が中小企業で構成されているからです。私の勤務先の会社も中小企業ですが、どこの部署も人手が足らないのと、社員募集をしてもすんなり人が集まりません。会社としては「育休申請」は認めざるをえませんが、職場の雰囲気や少数精鋭でまわしているところなんかは嫌な顔をされる場合や本来取得したい日数で取らせてくれないかもしれません。会社を退職するわけではないので、育休取得に罪悪感を感じ、引き続き仕事に専念する人もいるでしょう。

子供を産み育てる社員を優遇するのもいいですが、最も重要なことが「職場で育休社員のサポートのために業務量が増える社員へのケア」です。私が長期の育休取得するのをためらった内容でもあります。残された社員が不公平感を感じる制度では、職場の士気が下がります。また、育休を取得しやすい会社は職場の雰囲気に左右されやすいと感じます。育休を歓迎する環境を作るには、残された職場同僚が犠牲にならぬよう、業務量の増加に応じた給与の引き上げや一時金などのインセンティブが適切に支払われることが必要でしょう。三井住友海上が2023年4月から導入しようとしている育休取ったら同僚社員に応援手当を支給する』を企業が実践するのではなく、国が率先して「残された社員が不公平感を感じない制度」を考えていただきたいです。もちろん「お金」で全てが解決するわけではありませんが、育休を取得する側とすれば罪悪感を感じる負担も減り、男性育休取得率のアップにつながるのでないかなと思います。

また次のお話で。

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