育休取ったら同僚社員に応援手当を支給することについて

【2023年3月12日「読売新聞オンライン」記事より】

育休を取得している私として、少し気になった記事がありましたのでご紹介させていただきます。三井住友海上火災保険は2023年4月から、育休を取得した社員の同僚に最大10万円の一時金「育休職場応援手当」の支給を始めることを発表しました。支店を含む全社員を対象とし、支給額は職場の規模や育休取得者の性別に応じて決めて、職場全体で育休が快く受け入れられる環境を整備し、少子化対策に貢献する狙いがあるとのことです。

育休について思うこと

少しずつ世の中に『育休』という言葉が浸透してきていますが、まだまだ『育休を取得すること』は世間から見たら賛否両論あります。私の記事に対する結論としては、フォローする社員の給与が一時的に上がるということは、育休取得しやすい環境になりえると考えますので賛成です。でも、育休を取得した人は会社を辞めるわけではないので、復職するまで必ず誰かがフォローしなければません。フォローする人は、自分が抱えている仕事の負担が減ることはなく必ず増えます。だからと言って、自分の給与も増えることがないから否定的な意見が多いのではないかと考えます。また、日本人は責任感が他国に比べて強いのも理由の1つで、本当は育休取得したいけど、職場の人に「迷惑をかけたくない」「迷惑をかけられない」という思いが強い人が多いのではないでしょうか。私も営業職という立場で、1年間の育休を取得していますが、取得タイミングが良かったのと否定的な意見がなかったので取得しましたが、状況によっては短期間もしくは数週間程度になっていた可能性がありました。

育休職場応援手当のこと

この制度自体に懸念点が3つあります。1つ目は「支給額は性別ではなく、育休取得期間で決めた方がいいのではないか?」という点。2つ目は「育休を取る必要がない人の妨げになるのではないか?」という点。3つ目は「フォローする側が心よく受け入れてくれるか?」という点です。

1つ目の懸念点

今回の取り組みでは、女性の方が育休期間が長く、男性の方が短いという前提で設計されているようです。傾向としては間違っていないかもしれませんが、性別で支給額を決定するよりも、申請する育休取得期間で支給額を決定した方が、より実態に合った納得感のある支給額になるのではないでしょうか。

2つ目の懸念点

育休を取らずに仕事に専念したかったという人も、上司や同僚に一時金が支給されるという制度のせいで「もちろん育休は取るよね?」ということを言われるかもしれません。本来は「育休を取らない」という選択肢を取ることも認められるべきであり、「両親から手厚いサポートがあるし、仕事が大好きだから育休は取りたくない」という人や「家計の都合上、育休を取らない」という人もいるはずです。

3つ目の懸念点

給与が一時的に増えても嬉しいと思わないお金よりも時間を大切にする人が必ずいることや有給休暇をより取得しにくい職場環境になるかもしれません。一時的でも給与が上がるということは会社に労働力を支払う必要性と個々の責任感が強くなります。「いつもだったらこの時間に帰れるのに!」という不満が出てくるかもしれません。また、有給休暇も普段だったら取得できたのが、仕事の負担が大きくなると取得しにくい環境になるかもしれません。

このように、いくつかの懸念点はありますが、今回のように育休を取る社員の同僚にも一時金を支給する「育休職場応援手当」を導入することによって、職場全体で育休が快く受け入れられるようにするのは重要で大切なことだと思います。また、このような取り組みがキッカケで、育休を取得する人も育休をフォローする人も納得出来るような仕組みを国が率先して作ってくれることを願っております。

まとめ

日本を支えている約99%(経済産業省調べ)が中小企業で構成されております。ただ、全ての中小企業が、三井住友海上火災保険と同じように柔軟には動けないでしょう。会社としても、「資金問題」「人員問題」などの色々な壁があります。育休を取得する世代もおそらく30歳前後で会社の中核になって責任感を強く感じる頃だからこそ、育休を会社に進言しにくい環境になっているのではないでしょうか。夫婦共働きするのが当たり前の時代なので大変難しい問題です。一企業の取り組みでは限界があるからこそ、国が1つの取り組みとして「職場環境を整備する」ことを率先してくれれば、少子化対策に結びつく可能性が上がるのではないでしょうか。

また次のお話しで。

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